文章の発端:
先日、ある信者の方が大乗道師と会話していた際、本人が知らない間に「誰かに裏切られ、傷つけられた」ということを判明しました。それはつまり、この方の身近に「人間の道徳に反した行動をとった」人がいるということです。
では、「人間の道徳を反した行動」とは何を指しているのでしょうか?実はこの信者は善意を持って会社の同僚に接していましたが、その同僚は裏で上司に信者の仕事に関する報告を行い、信者を傷つけました。同僚の立場から見れば、職場の職業規則を遵守したに過ぎないかもしれませんが、世界の視点から見ると、これは人間の道徳に反した行為です。因果応報は避けられず、その同僚も将来、相応の報いを受けるのでしょう。
彼の過ちは、職業規則を善悪の基準と見なしたことにあります。このような善悪への誤解は、職場で「馴化」された人々に非常に多く見られます。表面的には誠実で真面目に働いているように見えますが、実際には是非善悪を混同し、真の道徳的判断に欠けています。
私たちは皆、社会における職業規則と人間の道徳的善悪基準が同一のものではないことを認識する必要があります。人間の善徳は常に規則よりも高く、また重要です。
実際、多くの規則はその初期の制定目的において、人間の善徳を守ることを目指していました。したがって、どのような職業上の要求であれ、道徳を核心に据えることによってのみ、真の善行と義挙が実現されるのです。
職業規則よりも大切なのは人間の道徳
現代社会において、職業規則と人間の道徳的素養はしばしば混同されることがあります。職業規則は、各業界が業務の進め方や行動の基本的基準を設けることで、秩序や効率を維持するためのものです。しかし、職場の規則を守ることが道徳的素養を持つことと同義ではありません。
中には、「職場の規則さえ守っていれば、自分は道徳的に正しい立場にいる」と考える人もいますが、これは誤った認識です。なぜなら、職業規則は業務をどのように遂行するかを解決するためのものに過ぎませんが、道徳的素養は善悪の判断や人間性への配慮を伴うものだからです。
たとえ職場において職業規則が重要であっても、人間の道徳は常により高い次元で、他者や社会に対する私たちの言動を導く基本的な指針であるべきです。
一、 職業規則の定義とその限界
職業規則とは、業界ごとに業務の効率性や信頼性を保つために設けられた基準です。これには、行動規範、法的責任、組織目標などが含まれます。例えば、医師は「患者を傷つけない」という原則を守る、ジャーナリストは「真実を報道する」という基準を守る、弁護士はクライアントの秘密を守る義務を負う…等々。
これらの規則は業界の信頼と効率を維持し、社会の円滑な運営を支えます。
しかし、職業規則の本質はツールで功利性があり、それ自体が道徳的な価値を必ずしも反映しているわけではありません。
さらに一部の職業規則は、個人の基本的な権利や福利を犠牲にしてまで業界の利益を優先する場合もあります。そのため、職業規則があるからといって、すべての行動が道徳的に正しいとは限りません。
職業規則は、組織を効率的に運営するためには必要不可欠ではありますが、人間の行動における道徳的基準を完全にカバーすることはできません。そのため、職業規則に盲目的に従うことが必ずしも正しいとは限らず、時には善良な人を傷つけ、自らもその報いを受けることになります。
また、規則には限界があり、人間の心により深く関わるような難題に直面する時、妥当な対応をとれないこともしばしばあります。

二、道徳素養:職業を超えた普遍的な基準
道徳素養とは、職業的立場を超えた行動基準であり、善悪の判断、正義、配慮の追求が職業に関係なく適用されます。
どのような職業に就いていても、人々は基本的な道徳的素養、すなわち誠実さ、公正さ、同情心、他者への尊重を行動で示すことが期待されています。これらの道徳的原則は、人類社会の基盤を形成し、個人間の交流だけでなく、社会全体の調和を支えるものです。
道徳は私たちの日常生活のありとあらゆるところに存在しています。仕事上のタスクを終わらせるだけではなく、他者に思いやりと愛情を与えるよう、導いてくれます。
職業規則は「物事の進め方」を教える一方で、道徳的素養は「なぜそのように行うべきか」を教えます。道徳は単なる効率やルールに焦点を当てるのではなく、行動の背後にある善意や配慮に注目します。この道徳は、仕事上の役割を超えて、より高次の行動基準となっています。
三、職業規則と道徳が衝突した際
現実の中では、職業規則と道徳が衝突することは珍しくありません。
例えば、メディア関係者は報道において客観性を保つことが求められますが、読者の注目を集めるために事件を誇張したり、片面的に伝えることがあります。このような行為は「注目を引く」という規則には従っていますが、真実と公正を損なうため、道徳に反しています。
ビジネスの場面でも、顧客の要求に応えることが求められますが、その要求が道徳に反したり、他者の利益を害するものである場合、従業員は職業規則と道徳の間で板挟みになります。例えば、商品の欠陥を隠すよう奨励されることがあり、これは「顧客サービス」の規則には適合しますが、消費者への道徳的責任を侵害します。この場合、真の道徳は、職業規則を超えて他者の利益を考慮することを求めます。

四、道徳と規則のバランスを取るには
職業規則と道徳が衝突する際、その矛盾をどのように解決するかは、社会と個人が直面する共通の課題です。このバランスをより良く取るために、以下の対策が考えられます:
1.道徳を職業規則に組み込む:規則を策定する際、業界や組織はより人間味のある要素を取り入れ、効率を確保しつつ人間の基本的価値観を守ることができます。
2.個人の道徳素養を高める:教育や指導を通じて、職業規則が道徳的責任を代替するものではないことを認識させる。職務を遂行する際にも、他者の福祉に配慮するよう促し、より高い道徳素養を発揮できるようにします。
3.監視およびフィードバックの仕組みを強化する:
組織は公開かつ透明なフィードバックの仕組みを設け、職業規則と道徳の衝突に直面した従業員が指導や支援を受けられるようにします。これにより、行動が職業規則に適合するだけでなく、道徳基準にも反しないようにすることができます。
結論:
人間の道徳は常に職業規則よりも高くにあるべきで、これを私たちの行動を判断する核心基準としなければなりません。多くの人々がこの違いを理解せず、職業規則を職場における道徳と同一視してしまうため、社会には混乱や不公平が生じています。この2つの違いを明確に理解すれば、社会はより良い方向へ進むでしょう。
職業規則は社会の運営を支えるものですが、人間の良心や配慮を代替することはできません。職業において道徳的素養を指針とすることで、規則にただ従うことを超え、人間的な温かさと調和のある社会を築くことができます。
このような取り組みは、個人のキャリアをより高め、社会全体をより温かく調和の取れた未来へと導くでしょう。